【Vantaを安全に使うコツ】最初から用意されている「権限セット(役割)」を使いこなそう

Vantaの「権限セット(役割)」を、正しく使いこなせていますか?
「とりあえず全員管理者」という“あるある”な失敗は、監査指摘や運用トラブルの温床になりがちです。
この記事では、Vantaが「最初から用意している」権限セットと、それぞれの最適な使い分けを徹底解説します。
独自の権限作成を検討する前に知っておきたい、柔軟な「タスク割り当て(Collaborator (協力者)権限の活用術)」のコツもご紹介します。
その「管理画面」、全員に「管理者」権限を渡していませんか?
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かといって、最初から権限を細かく設定すると、「あの画面が見れない」「この機能が使えない」という問い合わせが殺到して、対応が大変…。
そう思うあまり、IT担当チームのメンバー全員に、とりあえず一番強い「管理者(Admin)」権限を付与してしまう。
これが、多くの担当者が経験する「あるある」な失敗談です。
最初は問題なく動きます。 しかし、その「とりあえず」で付与した最強権限が、ある日...
- 「あれ?セキュリティポリシー(パスワードのルールなど)の設定が、いつの間にか緩いものに変わってる!」(原因:管理者権限を持つ誰かが、テストのつもりで設定を変え、戻し忘れた)
- 「監査人から『なぜこの部署の5人全員が管理者なんですか?』と指摘が…」(原因:放置)
…といった、日々の運用トラブルや監査指摘の温床になってしまうのです。
解決策:Vantaなら「最適な権限」をイチから悩まず設定できます
「管理者権限を渡しすぎるのは怖い。でも、細かく設定するのは面倒…」
そのジレンマを解決するのが、Vantaの「役割(Roles)」機能です。(※Vantaの管理画面やヘルプドキュメントでは、この機能は英語で「Roles」(役割)と呼ばれています。この記事では、それが「あらかじめ設定された権限のセット(束)」であることを分かりやすく伝えるため、ブログのタイトルや概要に合わせて「権限セット(役割)」という表記も使っていますが、どちらも同じもの(=Vantaが用意した役割)を指していると考えてください。)
「この役割の人には、どの権限が必要か?」を、担当者がイチから設計する必要はありません。
Vantaは、セキュリティ認証(SOC 2など)のプロとして、「この役割(例:監査人、IT担当者)なら、ここまで見えれば十分」という“安全かつ実用的な権限セット”を最初から用意しています。
つまり、担当者はVantaが用意した「役割」を選ぶだけ。 悩む時間をゼロにしつつ、セキュリティの基本である「最小権限の原則」に基づいた安全な運用を、すぐにスタートできるのです。
「管理者」「編集者」「監査人」~ Vantaが用意した「権限セット」を徹底解説
Vantaの権限設定を理解する上で重要なのは、Vantaがあらかじめ用意した「権限」に、大きく2つのタイプがある点です。
1.Vantaが標準で用意した「権限セット(役割)」
2.特定の項目に対する「オブジェクトレベルの権限」
(※なお、これらVanta標準の権限とは別に、必要に応じてユーザーが独自に作成する「カスタム権限」も設定可能です。しかし、多くの運用ニーズはVanta標準の権限で対応できるため、本記事ではまず標準の権限に絞って詳しく解説します。)
このうち、1つ目の「権限セット(役割)」は、その機能範囲によってさらに2つのグループに分類されます。
- Vanta全体に関わる権限
- トラストセンターやアンケート機能を利用できる権限
この全体像とそれぞれの分類の違いを把握することで、どの役割を誰に割り当てるべきかが明確になります。それでは、Vanta標準の権限について、タイプ別に詳しく見ていきましょう。
1.Vantaが標準で用意した「権限セット(役割)」
前述の通り、Vanta標準の「権限セット(役割)」は、2つのグループに分かれています。
A. Vanta全体に関わる権限
① Employee (従業員):
- 手動またはIDP(Google Workspaceなど)経由でVantaに登録されたユーザーに、デフォルト(初期設定)で割り当てられる、最も基本的な権限です。
- Vantaの管理画面には一切アクセスできません。この権限で許可されているのは、主に入社時(オンボーディング)に割り当てられるタスク(例:「セキュリティ研修を受けてください」「社内ポリシーに同意してください」)を完了させることだけです。権限がEmployee(従業員)権限となっている場合、特定のオブジェクト/タスク(テストやドキュメントなど)に割り当てることはできません。
(補足)IDPから同期された時点では、全員がこの権限になります。 Vantaの管理画面を操作する必要がある担当者については、後から管理者が「Editor (編集者)」や「 Admin (管理者)」といった上位の役割(ロール)に手動で変更することになります。
② Collaborator (協力者):
- Employee (従業員)の基本的な責務(研修など)に加え、以下の点がEmployee (従業員)と根本的に異なります。
- Employee (従業員)とは異なり、特定のオブジェクトやタスク(テスト、ドキュメント、リスク)の「オーナー(担当者)」としてアサイン(割り当て)される資格があります。
- 自分がオーナーとして割り当てられたタスク(オブジェクト)に対しては、Vantaの管理画面全体(ダッシュボードなど)にアクセスすることなく、ピンポイントでアクセスし、それを処理する権限が与えられます。
③ Admin (管理者):
- Vantaのすべてを設定・閲覧できる最強の権限です。
- Trust Centerの管理なども含め、Vantaの全機能を統括する「最高責任者」(例:IT部門のリーダーやセキュリティ責任者)1〜2名に限定して割り当てるべきロールです。 導入の「あるある」で触れたように、IT担当者だからといって全員にこの権限を渡してはいけません。
- この権限は、本当に必要な人(例:セキュリティ最高責任者、Vanta導入のメイン担当者)だけに絞りましょう。
④ Editor (編集者):
- 「日々の運用担当者」に最適な、IT部門の"標準"ロールです。
- Admin (管理者)とほぼ同等の操作ができますが、「機密性の高い従業員データ」や「APIトークン」、そして(デフォルトでは)「Trust Center」の管理権限など、特にデリケートな情報にはアクセスできません。
- IT担当者チームのほとんどのメンバーには、Admin (管理者)権限ではなく、まずこのEditor (編集者)権限を付与するのが、Vantaを安全に運用する最大のコツです。
⑤ Auditor (監査人):
- Vantaの真骨頂とも言える「監査人専用」の権限です。
- 監査人にこの権限を渡すだけでOK。監査人が必要な証拠(エビデンス)を自分でVantaから直接ダウンロードできるように設計されています。メールやExcelで証拠を送り合う、あの面倒な作業が激減します。
⑥ View-only Admin (閲覧のみ管理者):
- その名の通り、「見るだけ」の権限です。設定は一切変更できません。
- 経営陣や他部門のマネージャーに「セキュリティの進捗どうなってる?」と聞かれた際、状況を共有するのに便利です。
B. トラストセンターやアンケートへの回答機能を利用できる権限
このBグループの役割は、Aグループの「Employee (従業員)」が持つ基本的な責務(セキュリティ研修の受講など)をベースとして、追加で「Trust Center」や「AI質問票回答」機能に特化した権限がセットになったものです。
① Trust Admin (トラスト管理者):
Employee (従業員)の機能に加え、「Trust Center」および「AI質問票回答」機能に関するすべての「管理」権限(ナレッジベースの編集・承認、Trust Centerの公開設定など)が可能です。
② Trust Collaborator (トラスト協力者):
Employee (従業員)の機能に加え、「Trust Center」の共有や「AI質問票回答」機能の「実行(利用)が可能です。 (※ Trust Admin (トラスト管理者)が持つ「管理」権限(ナレッジベースの編集・承認など)は含まれません。)
2.特定の項目に対する「オブジェクトレベルの権限」
次に、Vanta標準権限のもう一つのタイプである「オブジェクトレベルの権限」について解説します。これは、「権限セット(役割)」とは異なり、特定のタスクや項目(オブジェクト)単位でアクセス権を管理する仕組みです。
例えば、「開発エンジニアに、Vanta全体(人事情報や他部署の設定)は見せたくないが、担当機能に関する『リスク評価』の作業だけを依頼したい」といった、部門横断的なタスク管理のニーズに応えることができます。
このような場合、すぐに「カスタム権限(独自の権限)」の作成を検討するかもしれませんが、Vantaではその必要はありません。
このニーズは、Vantaの標準機能である「オブジェクトレベルのアクセス管理(タスクの割り当て)」と、前章で解説した「権限セット(役割)」のうち「② Collaborator (協力者)」を組み合わせることで、安全かつ効率的に解決できます。
(例)開発エンジニアに「特定のテスト項目」だけを割り当てる方法
1. 役割(権限セット)の設定
まず、対象となる開発エンジニアの役割(組織レベル)を「② Collaborator (協力者)」に設定します。(※Employee (従業員)のままではタスクを割り当てられないため、これが必須です。)
2. タスク(オブジェクト)の割り当て
次に、Admin (管理者)やEditor (編集者)が、Vantaの「リスク管理台帳」などに「XX機能におけるSQLインジェクションのリスク」といった項目(オブジェクト)を登録し、その担当(オーナー)として対象のエンジニアをアサイン(割り当て)します。
(結果)
この設定により、Bさんは「Collaborator (協力者)」なので、Vantaの管理画面(人事情報や他部署のテスト項目)は一切見えません。
Bさんがログインすると、自分が担当者として割り当てられた「XX機能におけるSQLインジェクションのリスク」の項目だけがピンポイントで表示されます。 Bさんは、そのリスクに対する「具体的な対応策(コードの修正方針など)」や「進捗状況」を、Vantaに直接記述・更新することができます。
このように、Vantaは「カスタム権限(自作)」という複雑な設定に移行する前に、まず標準の「権限セット(Collaboratorなど)」と「オブジェクトレベルの権限(タスクの割り当て)」を組み合わせることで、多くの運用ニーズに柔軟かつ安全に対応できるよう設計されています。
Vantaの用意した権限セット(役割)を使う「3つの大きなメリット」
Vantaの用意した権限セット(役割)を活用するだけで、担当者は「作業の手間」と「セキュリティの不安」を同時に減らす、大きなメリットを得られます。具体的には、以下の3点です。
- メリット1:悩む時間ゼロ(=設定が"楽")
まず最大のメリットは、担当者が権限設計で悩む時間をゼロにできることです。
本来であれば、「この役割の人には、どの画面を見せて、どの操作を許可すべきか?」を、担当者がツールの仕様を読み解きながらイチから設計しなくてはなりません。
Vantaの用意した権限セット(役割)を使えば、その必要は一切ありません。 「IT担当者ならEditor (編集者)」「経営陣ならView-only Admin (閲覧のみ管理者)」といった具合に、セキュリティのプロが「安全かつ実用的」と考え抜いた役割を選ぶだけ。担当者の「設定の面倒さ」を徹底的に排除してくれます。
- メリット2:セキュリティ的に"安全"(最小権限の原則を実践できる)
■ 最小権限の原則とは?
難しそうに聞こえますが、とてもシンプルです。 「その人が仕事をする上で、本当に必要な最低限の権限だけを与えましょう」 という考え方です。例えば、「家の鍵」で考えてみましょう。
- 危険な状態(全員が管理者): 家族全員に、玄関、寝室、書斎、金庫など、家中のすべての扉が開けられる「マスターキー」を渡している状態。
- 安全な状態(最小権限): 子供には「玄関の鍵」と「自分の部屋の鍵」だけを渡す。金庫の鍵は(管理責任のある)親だけが持っている状態。
SaaSの権限管理もこれと同じです。
■ なぜ「最小権限」が重要なのか?もし全員が「マスターキー(管理者権限)」を持っていたら、2つの大きな問題が起こりやすくなります。
1. 「うっかりミス」の影響が甚大になる
SaaSでも同様に、管理者権限を持つ人が増えれば、「設定をテストのつもりで変えて戻し忘れた」「間違って重要なデータを消してしまった」といったヒューマンエラーが、システム全体に影響を与えてしまう可能性が高まります。 (導入の「あるある」で触れた「設定がいつの間にか変わってた」事件は、まさにこれです)
2. 「万が一の被害」が致命的になる
誰か一人のアカウント(ID/パスワード)が万が一、外部に流出した場合、その人が管理者権限を持っていたら、攻撃者はシステム全体を乗っ取り、すべての機密情報を盗み出せてしまいます。
■ Vantaが優れている点
Vantaの用意した権限セット(役割)は、Editor(編集者)権限なら「日々の運用はできるが、機密性の高い従業員データやAPIトークンには触れない」というように、Vantaが最適な「最小権限セット」を自動的に適用してくれます。
担当者はVantaの用意した権限セット(役割)の中から必要な権限を選ぶだけで、悩むことなく、自然とこのセキュリティのベストプラクティスを実践できるのです。
- メリット3:監査対応がスムーズ
Vantaの用意した権限セット(役割)の中でも、特に監査対応で威力を発揮するのがAuditor (監査人)権限です。
従来の監査では、「〇〇の証拠(エビデンス)をください」と監査人から依頼され、担当者がスクリーンショットやExcelデータを集めてメールで送る…といった、非常に面倒なやり取りが発生していました。
Vantaの場合、監査人にこのAuditor (監査人) 権限を渡すだけです。
Auditor (監査人)権限は、システム設定を一切変更できず、監査に必要な証拠(ログや設定状況)を「閲覧・ダウンロード」することだけが許可されています。
監査人は自分でVantaにログインし、必要な証拠を安全に確認できます。これにより、担当者の「証拠集め」の作業負担が劇的に軽減されるのです。
まとめ
Vantaは、セキュリティ監査の自動化だけでなく、日々の運用そのものもシンプルにするツールです。
例えば、記事で紹介した「権限セット(役割)」機能は、担当者間の役割分担を明確にし、操作ミスや設定漏れを防ぎます。また「監査人権限」を使えば、監査のたびに担当者が証拠集めに奔走する必要もありません。
Vantaは「セキュリティは面倒で複雑」という常識を変え、担当者を煩雑な作業から解放し、「安全な状態」を効率的に維持します。
Vantaを既にご利用中の方は、ぜひこの機会に「Settings (設定) > Users & Permissions (ユーザーと権限)」を開いてみてください。
メンバーの権限が「Admin」だらけになっていませんか?適切な権限設定は、セキュリティを強化し、操作ミスを防ぐ第一歩です。ぜひチェックしてみてください。Vantaのユーザーと権限に関する詳細については、公式のヘルプページもご参照ください。
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