Vanta とSlackでセキュリティ質問票(Questionnaire)対応を効率化する方法 ~ 社内確認の負担を減らすコラボレーションとは

本記事の概要
セキュリティ質問票対応は、AIによる自動回答が進化しても、社内のエンジニアや法務などへの確認・調整がボトルネックになりがちです。
VantaのQuestionnaire Collaboration機能とSlackを連携させることで、質問単位での担当割り当てやSlack上での確認作業が可能になります。これにより、セキュリティ担当者個人への依存を減らし、社内確認プロセス全体をワークフローとして構造化できます。
本記事では、この連携機能を活用し、他部署のメンバーをスムーズに巻き込みながら質問票対応を効率化する具体的な手法について解説します。
本機能を利用するには、事前にVantaとSlackの連携設定があらかじめが必要です。
詳しくはこちらの記事(クリックできます)をご確認ください。
セキュリティ質問票対応が思ったより時間がかかる理由
B2Bビジネスの商談プロセスにおいて、顧客や取引先から提示されるセキュリティ質問票(Questionnaire)への対応は、契約の成立可否にも関わる重要なプロセスです。
顧客からセキュリティ質問票の回答を求められた際、営業担当者は「すぐ回答できます」と言いがちです。しかし実際には、複数部門への確認が必要になることが多く、想定以上に時間がかかるケースも少なくありません。
実際のセキュリティ質問票対応は、AIによる自動回答が進化している現在でも、完全にシステムだけで完結するものではありません。インフラや信頼性領域を担当するエンジニアや法務など、社内の複数部門への確認・調整が必要となるためです。この社内連携のプロセスが、依然として対応全体のボトルネックになっています。
セキュリティ質問票対応が遅くなる構造
セキュリティ質問票対応のプロセスは、一見すると回答を埋めるだけの作業に見えますが、実際には複数のステップを経て進行します。
まず一次対応として、質問票はセキュリティ担当者や営業担当者が内容を整理し、ドラフトを作成します。
このとき、AIによる効率化が進んでいる組織では、既存の回答や生成AIを活用してドラフト作成が行われます。一方で、AIをまだ十分に活用していない組織では、過去の回答やドキュメントを手作業で探しながら対応しているケースも少なくありません。
しかし、どちらのケースでも共通して発生するのが、その後の社内確認プロセスです。この社内確認の往復が、セキュリティ質問票対応全体の時間を大きく押し上げる要因になっています。
セキュリティ質問票対応のよくある進め方
セキュリティ質問票への対応は、過去の回答や社内ドキュメントの検索、チャットツールやメールを使った社内調整など、複数の手作業プロセスを組み合わせて進められるケースが一般的です。主な流れは以下の通りです。
- 過去の回答履歴や社内規程からの情報収集
顧客から受領した質問票に対し、まずセキュリティ担当者が過去の類似回答や社内規程などを検索し、一次回答を作成します。近年では、既存の回答やナレッジをもとにAIを活用してドラフトを生成するケースも増えています。 - 専門領域に関する他部署への確認・依頼
インフラやSRE (Site Reliability Engineering)、法務・契約など、専門知識が必要な項目については、該当する部署へ個別に確認や回答依頼を行います。このやり取りは主にチャットツールやメールで行われます。 - 回答内容の確認・整理・最終化
各担当者から入力された回答について、回答漏れの有無や内容の整合性、表現の統一などを確認し、提出に向けた最終レビューを行います。
この一連のフローの中で特に工数がかかりやすいのが 2 と 3 です。他部署のメンバーはそれぞれコア業務を抱えているため、依頼がチャット上で埋もれたり、どの質問が誰に割り当てられているかが見えにくくなることがあります。その結果、セキュリティ担当者や営業担当者が進捗確認やリマインドを個別に行う必要が生じ、回答の回収に日数を要することがあります。
セキュリティ質問票対応の理想的なワークフロー(状態が可視化された運用)
セキュリティ質問票対応において社内調整の工数を最小限に抑えつつ、正確かつ迅速な回答を実現するためには、各質問の対応状況が状態として構造的に管理され、関係者全員が同じ進捗情報を参照できる仕組みが必要です。状態が明確に可視化されることで、誰が何を対応しているのか、どこで止まっているのかが属人的なコミュニケーションに依存せずに把握できるようになります。以下に理想的なワークフローの一例を示します。
- 初期回答の自動化とドラフト生成
顧客から受領した質問票に対し、過去のナレッジや社内規程をもとに、自動的に回答案が生成されます。これにより、過去の回答検索や類似質問の手作業は最小限に抑えられます。この時点で各設問は未確認のドラフトという状態として登録されます。 - 専門領域へのピンポイントな割り当て
インフラ、SRE、法務など、質問内容に応じて適切な専門メンバーへ質問単位で担当を割り当てます。質問ごとに担当者が明確になることで、対応漏れや担当の重複を防ぎ、効率的な分担が可能になります。また、担当者への通知を適切に行うことで、担当者は自分が対応すべき質問を速やかに把握し、回答に着手できる運用を実現します。 - レビュー・承認による品質担保
担当者が作成した回答やシステムが生成したドラフトをもとに、セキュリティ担当者が内容をレビューし、承認を行います。回答状況や承認状況、操作履歴を管理することで、進捗の把握や監査にも対応できます。レビューと承認のプロセスを組み込むことで、回答品質を維持しながら、個別の進捗確認やリマインドに依存しない運用を実現できます。
このようなワークフローを構築することで、セキュリティ担当者や営業担当者は社内調整のハブとして個別に進捗確認やリマインドを行う負担を軽減できます。結果として、社内工数を抑えながら、回答スピードと品質を両立した運用を実現できます。
VantaとSlackを使ったセキュリティ質問票対応の実務フローの例
前述した理想的な状態管理のワークフローは、Vantaの [Questionnaires] と [Slack] 連携を組み合わせることで、以下のように実務へ落とし込むことができます。
顧客から受け取った質問票をVantaにインポートしドラフトの回答を作成
顧客から受け取った質問票を [Questionnaires] の [Add Questionnaire] からインポートします。

Vantaへの質問票の登録(インポート)は、状況に応じて以下の3つの方法から選択できます。
- ファイルの直接アップロード
- 顧客ポータルサイトからの取り込み
- SIG LITE等のテンプレートの活用

インポートが完了するとSlackに通知が届きます。

Vantaに質問票を読み込むと、登録済みのポリシー、ナレッジベース、回答ライブラリ、およびトラストセンターで公開されている情報をもとに、自動で回答のドラフトが生成されます。Vanta AIによって回答が作成された設問については、質問文の下にドラフトが表示され、その下部に「Answered by Vanta AI」と明記されます。

ドラフトの回答を自動生成する際に、Vanta AIがセキュリティ上の懸念や注目すべき回答に自動的に「Flagged by Vanta」としてフラグを立てることがあります。Flagが立てられた質問は [Flagged] のタブでまとめて確認することができます。

Vanta AIによるドラフト回答が自動生成されなかった設問は、その質問をクリックすることで、AIが推奨する回答案や根拠となるドキュメントの一覧が提示されます。

担当者にアサイン
各質問のボックスにある [Unassigned] (未割り当て) アイコンをクリックすることで、個別に担当者を割り当てることが可能です。

質問の割り当て通知は即時ではなく、およそ15分間の間に発生した複数の割り当てが、まとめて送信される仕組みになっています。
担当者の割り当ては質問ごとに行われ、質問がアサインされると、以下のようなSlack通知がVanta アプリケーションから届きます。

Vanta AIによるドラフトの回答がない場合 [Add Answer] ボタンをクリックし回答入力します。

Vanta AIでドラフト回答が作成されている場合は、回答があらかじめ入力されています。内容をそのまま採用する場合は、[Save & Next] をクリックしてください。修正する場合は、ドラフト回答を直接編集します。
回答を確定する際に [Mark answer as approved] にチェックを入れると、質問のステータスが [Draft] から [Approved] に変わります。(※ 質問をアサインされたユーザーのロールによってはこのチェックボックスが使用できないことがあります。)
回答担当者が承認まで実施する運用とすることで、取りまとめ担当者は [Approved] の質問を中心に回答内容や添付ファイルの有無を確認すればよくなり、進捗管理やレビューの効率化につながります。
※ Slackから回答をする場合はファイルの添付ができません。質問に対する証拠をアップロードするには、Vantaでアンケートを開いて回答する必要があります。

レビューと承認
Vantaアプリケーションに行き 、[Questionnaires] から対象の質問票を選んで、各担当者が入力した回答を確認します。[Needs answer] タブには、Vanta AIによるドラフト回答がなく、かつ未回答の項目が表示されます。[Flagged] タブには、Vanta AIによりセキュリティ上の懸念や注意が必要と判断された回答が表示されます。[Draft]タブには、Vanta AIによる回答があり、まだ承認されていない項目が表示されます。
回答担当者が [Mark answer as approved] による承認まで実施している場合は、承認済みの回答が [Approved] タブに表示されるため、取りまとめ担当者は [Approved] タブを中心にレビューを行うことで確認作業を効率化できます。回答担当者が承認を行っていない場合は、[All] タブもしくは [Draft]タブから回答を確認し、取りまとめ担当者がレビューおよび承認を実施します。
担当者と回答内容について確認したい事項がある場合は、[Comments] から担当者をメンションしてコメントを投稿できます。メンションされた担当者には、Slackで通知が送信されます。

Vantaのコメント機能で担当者をメンションすると、SlackのVantaアプリを通じて当該担当者に通知が送信されます。通知の [View in Vanta] をクリックするとVantaアプリケーションで該当の質問を表示することができます。

すべての項目の承認が終わりましたら [Mark as complete] をクリックします。


[Mark complete(完了としてマーク)] をクリックして質問票を完了とする、もしくは、 [Add and mark complete(追加して完了としてマーク)] を選択して、承認済みの回答を「回答ライブラリ(Answer Library)」に追加します。
このとき [Add and mark complete] を選択する事で、さきほど、「質問と回答を人の目で精査し、会社として正式に承認する」というプロセスを経たセキュリティ質問票の回答をライブラリに蓄積できます。ライブラリに登録された回答は、Vanta AIがドラフト回答を作成する際の参照情報として利用されます。Vanta AIは単なるキーワードマッチングではなく、過去の回答の文脈を考慮して回答を生成するため、ライブラリが充実するほど、自社の表現や運用に沿った精度の高いドラフト回答を生成できるようになります。新しい質問票の対応が完了するたびに最新の回答をライブラリへ反映することで、自社の最新のセキュリティ体制やポリシーを継続的に反映でき、古い情報に基づくドラフト回答が生成されるリスクの低減にもつながります。
Vanta×Slackで実現するこれからのセキュリティ質問票運用
セキュリティ質問票対応は、AIによる回答生成の進化によって以前より効率化しやすくなりました。しかし実務では、回答作成そのものよりも、社内の専門メンバーへの確認やレビュー依頼、進捗管理に多くの時間が費やされています。
そのため、質問票対応を効率化するうえで重要なのは、回答を自動生成することだけではなく、回答作成からレビュー、承認までを含めた一連のプロセスをワークフローとして設計することです。
Vanta の Questionnaire Collaboration と Slack連携は、各設問の担当者や進捗状況を可視化しながら、普段の業務導線の中でレビューを進められる仕組みを提供します。
セキュリティ担当者が社内調整の中心として動き続けるのではなく、組織全体で質問票対応を進められる運用を実現する手段として、こうしたワークフロー型のアプローチを検討してみてはいかがでしょうか。
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