VantaのAIが実現する、爆速・高精度なチェックシート回答プロセスとは?
本記事の概要

Vantaはリスク管理とコンプライアンスを統合的に支援するプラットフォームです。本稿ではセキュリティ担当者の深刻な課題であるセキュリティチェックシートへの対応を解決するAI活用「質問票自動化」機能に焦点を当てます。
はじめに
「またこの大量のExcelが
送られてきた…」

B2Bビジネスの拡大に欠かせない、取引先や顧客からのセキュリティ質問票。その重要性は理解しつつも、ファイルを開くたびに、思わずため息をついてしまう担当者の方も多いのではないでしょうか。
過去の回答を探すためにいくつものフォルダを探し回り、Excelやスプレッドシートで管理された情報はいつの間にか属人化。担当者しか分からない「秘伝のタレ」のような状態になってはいませんか?
さらに、サービスの仕様変更や新しいツールの導入があるたびに、回答の正確性を担保し、常に最新の状態に保ち続けるのは至難の業です。なにより、この対応の遅れが、大切な商談の遅延や、最悪の場合、失注に繋がってしまうリスクも無視できません。
もし、あなたがこれらの課題に一つでも心当たりがあるなら、ぜひ読み進めてください。
その絶望的な状況を打破するのが、本記事でご紹介するVantaの「質問票自動化(Questionnaire Automation)」機能です。Vantaを活用することで、これまで数日から数週間かかっていた質問票への対応がわずか数時間に短縮され、担当者の負担を劇的に削減することが可能になります。
この記事では、Vantaがどのようにしてその「爆速・高精度」な回答プロセスを実現するのか、その仕組みと具体的なステップを分かりやすく解説していきます。
※Vantaとは( Vanta製品についてはこちらをご参照ください )
Vantaの質問票自動化(Questionnaire Automation)
なぜ今、セキュリティ質問票の自動化が「必須」なのか?
質問票対応の自動化は、単なる「効率化」ではありません。ビジネスの成長を左右する「戦略」です。理由は大きく4つあります。
- 担当者を「単純作業」から解放する
終わりなき情報収集とコピペ作業から担当者を開放し、本来やるべきセキュリティ戦略の立案といった「攻めの業務」に集中させます。
- 「機会損失」を防ぐ
回答の遅れはビジネスの致命的なボトルネックです。迅速で正確な回答は顧客の信頼を勝ち取り、商談を加速させる武器になります。
- 「あの人しか知らない」といった属人化リスクをなくす
担当者の退職や異動で回答品質が落ちるリスクをなくし、常に一貫性のある公式な回答を提供。会社の信頼を守ります。 - 「受動的な対応」から「能動的な改善」へ
「指摘されてから直す」のではなく、自動化の過程で自社の弱点をプロアクティブに発見・改善するサイクルを生み出します。
Vantaによる自動化の仕組みとは?
Vantaの自動化の核心は、貴社のセキュリティに関するあらゆる情報を一箇所に集約し、いつでも正確な回答に使える『インテリジェント・データベース』を構築・維持する点にあります。
このデータベースは、質問票への回答を効率化するだけでなく、各種のセキュリティ監査や日々のセキュリティ管理においても中心的な役割を果たします。このデータベースは、主に2つの要素から構成されます。
1. 過去のQ&Aから回答を再利用
過去に回答済みの質問票を登録すると、同じ質問(似たような質問)が来た場合、探すことなく瞬時に回答を提示し、回答の一貫性を保ち、担当者の手間をゼロにします。
2. 社内ドキュメントからAIが回答を新規生成
社内の情報セキュリティポリシーや各種規程を登録すれば、AIがその内容をすべて読み込み、理解します。これにより、過去に回答したことがない新しい質問に対しても、社内ドキュメントに基づいて正確な回答をAIが新たに生成します。
Vantaを使ったセキュリティチェックシート自動化の具体的なステップ
ここからは、Vantaを使った自動化の具体的なステップを見ていきましょう。
1.過去のQ&Aを登録する(ナレッジの土台作り)
まず、Vantaに過去の財産を学習させましょう。これまで時間をかけて作成してきた回答済みの質問票は、AIにとって最高の教科書になります。
ステップ1:質問票ファイルのインポート
Vantaの管理画面から Knowledge base
> Answer library
へと進み、Import questionnaire
ボタンをクリックするとポップアップが表示されます。
ほとんどの質問票はExcel(.xlsx
)形式なので、特別な準備は不要です。そのままファイルをUpload Fileにドラッグアンドドロップし、Nextボタンを押すと、Vantaが内容を読み込み始めます。

ステップ2:質問列と回答列の指定
次に、Vantaに「この列が質問で、この列が回答ですよ」と教えてあげる作業です。
画面にプレビューが表示されるので、質問が書かれている列の上にあるプルダウンで質問が書かれている列で Question
選択し、回答が書かれている列で Answer
を選択します。指定が完了したら、Confirm
ボタンを押してください。

最後に、取り込んだ内容に間違いがないか最終確認します。Review answers
ボタンを押すと承認画面に移動するので、Q&Aの内容をチェックし、問題がなければ承認します。各項目を個別に承認することも、全選択して一括で承認することも可能です。

ここで「承認」されたQ&Aペアが、VantaのAIが学習するための正式なナレッジとなります。この「承認済みナレッジ」が増えれば増えるほどAIは賢くなり、今後の質問票への回答精度や自動化率がどんどん向上します。
2.社内の公式ドキュメントを登録する
次に、過去のQ&Aだけではカバーしきれない、新しい質問に答えるための知識をAIに与えましょう。ここでは、情報セキュリティポリシーなどの社内規程がAIの重要な知識源となります。
リソースのアップロード
Vantaの管理画面から Knowledge base
> Resources
へと進み、用意したドキュメントをアップロードします。
アップロード時、Use for questionnaires
のスイッチを On にすると、そのファイルがAIの学習データとして読み込まれ、質問応答の自動化に使用されます。なお、Use for questionnaires
のスイッチを OnがサポートされているのはDOCXファイルとPDFファイルのみとなります。

アップロードされると、VantaのAIがドキュメントの内容を自動で読み込み、その内容を解析・学習します。
これにより、過去に一度も回答したことのない質問が来た場合でも、AIはこれらの公式ドキュメントを根拠として、正確な回答をゼロから生成できるようになります。会社の「正解」が常に反映されるため、回答の信頼性が大きく向上します。
3. 質問票をアップロードし、回答を自動生成する
さて、AIの「教科書」となるナレッジの準備ができました。ここからは、実際に顧客から受け取った新しい質問票をVantaに読み込ませ、回答を自動で作成させるプロセスです。これまで数日かかっていた作業が、数分で完了する瞬間を体験できます。
ステップ1:新しい質問票のアップロード
Vantaの Questionnaires
メニューから、新しい質問票の対応を開始します。 顧客から受け取ったExcel、pdf、docxファイルを、Vantaにドラッグ&ドロップするだけでアップロードは完了です。
ステップ2:AIによる回答の自動生成
アップロードが完了すると、VantaのAIがバックグラウンドで処理を開始します。 AIは、質問票の各項目を読み解き、私たちが事前に登録したナレッジ(過去のQ&Aや社内規程)の中から、最適な回答案を自動で入力していきます。
ステップ3:AIが生成した回答の確認と承認
処理が終わると、いよいよ担当者の出番です。しかし、ここでの仕事はゼロから回答を探し回る「作業者」ではありません。AIアシスタントが作成した回答をレビューする監督役」へと役割が変わるのです。

例えば、質問票を開くと、 「情報セキュリティを推進するための役割と責任は明確に定義されていますか?」 という設問に対し、次のような回答がすでに自動で入力されています。
『情報セキュリティ責任者(CISO)を任命し、情報セキュリティ委員会を設置しています。従業員の役割と責任は雇用契約書や社内規程に明記し、入社時に同意を得ています。インシデント対応やアクセス管理なども明確に責任分担を定めています。』
Vantaのすごいところは、なぜこの回答を生成したのか、その根拠(Reference)を明確に示してくれる点です。
この例では、Reference
を確認すると、過去に登録した質問票(M Intec Security Check Sheet.xlsx
)と、2で読み込んだ社内の公式ドキュメント((F lab Information Security Basic Policy.docx)
)の両方を参照して回答を作成したことが一目でわかります。

担当者は、まずこの根拠を元に、回答の妥当性を確認します。
そして、ここからがVantaを導入したレビュー担当者の真価が発揮される部分です。
「登録したルールは、本当に今も守られているのか?」という最も重要な問いに対して、Vantaは明確な答えを持っています。担当者は、AIが提示した回答案と実際の設定が同じかVantaの『Tests』セクションで確認することができます。(このTestsの機能に関しては後日別記事で説明予定です。)
この検証プロセスを通じて、単に回答を作成するだけでなく、「ルールと現実のズレ」を早期に発見し、セキュリティ体制を常に健全に保つという、極めて価値の高いサイクルを実現できます。
全ての項目が終わったら、完成した質問票をエクスポートして顧客に提出します。その際、Export original format
オプションを選択すると、元のExcelファイルに回答が反映された形で書き出せるため、手作業でコピー&ペーストする必要がありません。

Vanta導入によるメリット
Vantaを導入することで、単に作業が楽になるだけではありません。ビジネス全体にポジティブなインパクトをもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットをご紹介します。
1. 回答工数の劇的な削減:担当者を本来の業務へ
これが最も直接的で、誰もが実感できるメリットです。 Vantaを導入した多くの企業から、以下のような声が聞かれます。
- 数週間が数時間に: 従来、複数部署への確認や情報収集で1〜2週間かかっていた質問票への回答が、わずか数時間〜1日で完了するようになった。
- コミュニケーションコストの削減: 営業、法務、エンジニア間での「これ、どうなってますか?」という確認のやり取りが大幅に減り、全員が本来の業務に集中できるようになった。
これは、担当者が単純作業から解放され、より戦略的なセキュリティ業務に時間を使えるようになることを意味します。
2. 営業プロセスの加速:商談のボトルネックを解消
セキュリティ質問票は、しばしば商談の進行を止める最大のボトルネックとなりがちです。Vantaはこのボトルネックを解消し、営業部門の強力な武器となります。
- 機会損失の防止: 回答の遅れによる失注リスクを大幅に低減します。迅速でプロフェッショナルな回答は顧客に安心感を与え、競合他社に対して優位に立つことができます。
3. 監査対応の効率化:一度集めた情報をマルチに活用
Vantaの真価は、質問票対応だけに留まりません。 質問票に回答するためにVantaに集約した情報(ポリシー文書、AWSやGoogle Workspaceとの連携で得た設定情報など)は、そのままSOC 2やISO 27001といったセキュリティ監査の証拠(エビデンス)として再利用できます。
- 一石二鳥のコンプライアンス体制: 質問票対応のために整備した体制が、そのまま監査準備にも繋がります。「監査のたびに、また一から証拠集め…」といった非効率な作業から解放されるのです。
Vantaは単なる「質問票回答ツール」ではなく、企業の「信頼」を証明するあらゆる活動を効率化するプラットフォームなのです。
まとめ
この記事の冒頭で触れた、あのうんざりするようなセキュリティ質問票との格闘。この記事を通して、その日々が過去のものになる未来を、具体的にイメージいただけたのではないでしょうか。
Vantaは、AIを活用して過去のQ&Aや社内ドキュメントを学習するだけでなく、各種システムと連携して「リアルタイムな証拠」を自動で収集します。
これにより、これまで数週間かかっていた回答プロセスはわずか数時間に短縮され、担当者は本来注力すべき戦略的な業務に集中できるようになります。
しかし、Vantaがもたらす価値はそれだけではありません。次回の記事では、「Vantaの『Tests』セクションで、常時監視しているシステムの『現在の設定状況』を確認」する方法について詳しく解説します。
もう、価値を生まない手作業の質問票対応に、会社の貴重な時間とエネルギーを費やすのは終わりにしませんか?
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